
時は流れ、青年へと成長した范閑の前に、赤い外套を纏った兵士が現れた。その兵士たち范閑の父親である范建の命令を受け、范閑を京の都へ連れていこうとしたが、范夫人はそれを拒否。
孫の范閑に対し、冷たい素振りしか見せない范夫人だが、誰よりも范閑の事を気にかけていた。范閑の母親は京の都で何者によって殺害されたため、その息子の范閑が京の都へ行けば、命が狙われるかもしれないと、その身の安全を案じる范夫人だった。
ある日、范閑は范夫人と食事する際に、料理に毒が盛られている事に気付いた范閑は一人で毒のある料理を平らげて毒にかかり、召使たちもまた同じ料理を食べていたため、全員が毒にかかっていた。真犯人を捕まえようと、范閑は范宅に野菜を提供している老人の家を訪ねたが、そこに待ち伏せていた刺客が現れた。

刺客の正体は監察院四処(密偵係)所属の騰梓荆で、朝廷から命令を受け、「国賊の討伐」という名目で范閑を暗殺しに来たという。激しい戦いの後、范閑は自ら騰梓荆に、自分が監察院三処長官である費介の弟子だと正体を明かした。幼少の頃から儋州に住み、一度も京の都へ行った事もなければ、朝廷で権力も勢力もない。なのになぜ「国賊」として朝廷から命が狙われるのか。その不可解な暗殺命令に騰梓荆も疑問を抱き、范閑と共に真相を究明しようとする。
范閑は范宅に戻ると、范宅の執事が范夫人によって捕らわれていた。范宅で長く勤めてきた執事は、范宅二番目の夫人である柳如玉から遣わされた范閑の監視役だと自白。そして自分は范閑を暗殺しようとする監察院に協力しただけと話す。
事の重大さに気付いた范夫人は、范閑の父親に事件の真相を調べてもらおうと考えていたが、范閑は自らの手で真相を究明しようと京の都へ行きたいと范夫人に話す。范夫人は范閑の安全を気遣いながらも、都へ行く事を諦めきれない范閑を見送る事しか出来なかった。
騰梓荆は無実な罪を着せられた范閑の暗殺に失敗し、京の都へ戻っても消されるのを知り、范閑に自分は返り討ちに遭い、死亡したという噂を広めて欲しいと頼んだ。
京の都へ行く前に范閑は護衛役の五竹のもとを訪ねた。五竹は范閑の母親が残したという箱を渡したが、どうしても開ける事は出来なかった。そして箱を開けられる唯一の鍵は京の都にあると范閑に教えた五竹。こうして范閑は一連の事件の真相を究明すべく、世話になった范夫人に別れを告げ、いよいよ京の都へと旅立ったー。
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