
大学生の張慶は現代的思想を用いて、古代文学史を分析する方法を模索しているが、担任の大学教授からその考えは間違っていると指摘される。しかし張慶は自分の考えは正しいであると証明するため、ネット上で開催されているSF文学大会に参加し、現代人の思想を持つ人間が過去で生存の道を模索するというテーマにした小説を執筆し始めた。張慶はその小説の題名を「慶餘年」と名付けた。
死の淵を彷徨っていた重症筋無力症を患った現代の青年が目を覚ますと、竹籠の中に入っている赤子になっていたが、現代人だった頃の記憶は全て残っていた。この赤子こそ張慶が執筆した小説の主人公である范閑。竹籠の中に入っている自分を背負って追手から逃れる盲目の剣客の名は五竹。范閑の亡き母親の召使だった男だ。

五竹は追手を逃れて崖までたどり着くと、黒騎を引き連れた南慶国の監察院院長の陳萍萍と遭遇。范閑の母親が亡くなった事を知った陳萍萍は范閑を預かろうとするが、五竹は范閑の身の安全を案じ、引き渡す事を拒否。その後、五竹は陳萍萍の指示に従って范閑を儋州へ連れてゆき、祖母の家で育てる事に。
数年後、すくすくと成長した范閑の言動ぶりは大人びており、子供とは思えないほどの怪力を持っている。范閑と共に育った女の子の名は范若若。庶子の范閑と違い、范若若は嫡女で范閑とは腹違いの妹だ。二人は大の仲良しだが、家庭の事情により范若若は京の都にある実家へと連れ戻された。
ある日の夜、范閑が寝ている間に黒衣を纏った不審者が部屋に侵入してきたが、范閑はとっさの機転を利かせてあっさりと退治。しかしその黒衣の人物こそ、朝廷の監察院第三処をまとめる毒使いの費介だった。

費介は范閑の祖母である范夫人に、自分は戸部尚書でもある范閑の父親・范建の指示で范閑の師匠として儋州へやってきたと報告。それ以来、范閑は費介から医術、そして五竹から武術を学んだ。
数年後、范閑はついに医術で師匠を負かし、ようやく一人前として認められた。もう教える事がなくなった費介は京の都へと帰還する際に、范閑に観察院の司法検察官の身分証を渡し、もし何かあった時、それを持って自分を訪ねるようにと告げた。時は流れ、青年へと成長した范閑の目の前に、赤い外套を纏った兵士が現れるー。
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