ほったゆみ(原作)と小畑健(漫画)による囲碁を題材にした少年漫画『ヒカルの碁』をベースに、中国で実写化されるドラマ『棋魂』は2017年の制作発表から二年の歳月を経て、いよいよ撮影が開始される。『ヒカルの碁』は平凡な小学生の進藤ヒカルが藤原佐為という天才棋士の霊に取り憑かれ、囲碁の世界で「神の一手」を目指してゆく姿を描いており、その漫画は中国でも多くの読者から愛されている。


ドラマ『棋魂』は中国で大ヒットを記録した学園青春ドラマ『最好的我們(邦題:最上のボクら)』の小糖人文化伝媒が制作を担当し、同作の劉暢(リウ・チャン)監督がメガホンを執る。主演を務めるのはドラマ『琅邪榜之風起長林(邦題:琅琊榜<弐>~風雲来る長林軍~)』で蕭元時役を演じた胡先煦(フー・シェンシュー)、そしてドラマ『大漢情縁之雲中歌(邦題:雲中歌~愛を奏でる~)』で少女時代の雲歌役を演じた蒋依依(ジャン・イーイー)。


今回中国で制作されるドラマ『棋魂』だが、現在公開されている人物紹介を見る限りでは、原作の物語と大きくかけ離れた内容になっているようだ。まず本作に登場する主要人物は平均18歳の少年たちばかりで、原作の要とも言える藤原佐為のような人物はいない。つまりただ単に囲碁をこよなく愛する少年たちの姿を描いたマインドスポーツ青春ドラマになる可能性も。

現時点では物語の詳細が公開されていないため断言は出来ないが、少なくとも中国では現実社会を舞台にした現代ドラマで、幽霊や妖怪といった類の登場は何かと規制されがちなので、原作と同様の内容で制作されるのは非常に難しいと言える。それなら規制されないスポーツ精神を謳う作品として制作された方が無難だろう。しかしそうなると、原作のドラマ化権を獲得した意味は果たしてあったのだろうかーという疑問も出てくる。オリジナルストーリーでいいのでは?

なお、本作は5月初旬から撮影開始予定で、撮影期間は約150日。作品自体は全36話で構成されており、中国の動画配信サイト「愛奇芸」にて配信される。今回のドラマ化に対し、中国のファンはかなり不安を感じているようだが、今は公式からの発表を静かに待つとしよう。